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2.江戸時代の茶染業~黒染めの歴史~

2.江戸時代の茶染業

 

こうした茶染屋の存在は明らかであるが、江戸時代の度重なる大火で記録が失われて
おり、

茶染業の多くを明らかに出来ないが”京羽二重”には茶染師について営業内容と
茶染工場の所在を名称不明であるが記している。

茶染師

一切色々の茶、吉岡、楕拠子染等これをなす。室町一条の北に茶染師の名家あり。

其外西洞院四条坊門より南にあり。

室町一条上ルの茶染の名家については不明であるが、西洞院四条下ルには古くは吉岡
憲法家があり、何か関係があるのではないかと思われる。

又、天保二年(一八三1)刊行
「商人買物獨案内」に茶染屋として次の三軒が名を出している。

 

・糸茶染所 元誓願寺堀川西へ入町  山形屋作兵衛

本梅椰子染所

・お召茶染所 西洞院二条上ル東側  鍵屋嘉兵衛

本檳榔子染

・お召茶染所 西洞院二条上ル二町目  柏家平兵衛

 

面白い事に鍵屋も柏家も「商人買物獨案?」に広告文を記載し、鍵屋は本檳榔子染に
ついては世間には色々の看板を上げて染めているところがあるが私の家は先祖伝来の染法で行なっており、

染上り品の反末には印形を押して差し上げますので名前をよく確かめて下さい」とことわっている。

又、柏屋平兵衛では次のような長文を記載し、檳榔子染の効用を誇示し、他の黒染と
の格差を強調している。その所在地は現在(昭和63年当時)も変っていない。


一本ひんろうじ染之儀ハ、私家二先祖より本法の染方相伝御座候而、格別御召地之御為宜く、

地性よくしまり、つやよく、次第二上品之黒ミ出、色合不替、地合よハり不申候間、

御着用被遊候て、其功能甚多候。且、檳榔子茶種の功能、

是又多御座候得而、本艸之書=くハしく見え候由。

故=衣類”染用候而、第一風寒雨露湿気を不受、暖温の悪気を払ひ、妖邪不浄を退く、

其口候へハ、黒染と申ハ皆ひんろうし染=限り、御上着物=御座候。

然ルニ檳榔子染ハ料志六ケしく相成候節、吉岡兼法と申人、檳榔子を不用、

はくろにて染出し、 是より以来けんぼう黒のミニ相成、檳榔子染ハ名のミニて、

本法の染方知る者さへ無之、中絶仕候。

然る=近年、檳榔子多分渡り 下直=相成候故、別而御為宜く侯様、そめくさ 沢山=相用ひ、

色合よく格別入念下直=出来仕、奉差上候。何卒御染させ被下、御ためしの上、

追々御用被仰付可被下侯様、 奉願上侯、


御召茶染所       西洞院二条上ル二町目
                 柏屋平兵衛

近来、嶺拠子染と申、世間=段々類染多出来仕候而、

甚紛敷御座候間、私方之染ハ、御地之端又ハ御衿肩=「檳榔子、 柏平」 如此印致、

さし上申侯。御吟味之上御用被仰付可被下侯、巳上。


                    文化十四年丑十一月=相改

 

両者共檳榔子染の前に「」という冠称を付けて本物を強調し、本文では楊梅皮によ
る黒染と一線を画しており、

近来憲法染 の黒のみになっており、核郷子染は名ばかりで檳榔子染の染法も忘れ去られていたが、

最近になって核憾子が多く舶載され、値も下ったので染料を多く用いて入念に染め安価に出来るようになったことが強調され、

他工場でも檳榔子染と称して多く染めているが本工場では当方の責任印を押していると記されており、

当時でも色々の面で競争しており、反末の捺印 による保証などは現在にも通ずる話である。

この文の中に檳榔子の薬用について瘴気による病気や風邪を直すなどの効用が本草(薬学)に書かれているが

この薬を染料として使うため染めた衣服を着用すれば諸々の悪邪をしりぞけると強調しており、

薬用植物で染色しているという着用者の心理をつく内容となっている。

本文中に檳榔子染憲法染より以前にあり、吉岡憲法が檳榔子染
とら檳榔子を抜いて黒染法を完成したとあるが、史実に乏しい。

茶染屋の営業色相については一応どんな色でも扱っていたとは言われているが、

桂染工場 に現存する明治三十三年巴里薦国博覧会に出品して

金賞を得た染色切れを貼り付けた金屏風を見ると染色された色相名は次のようになっている。

・61色ほどある。

以上の色相は全てダーク調であり、茶染屋の取り扱い色目は第三章でもわかるように

五倍子、楊梅皮を中心とした媒染々色であったため、主流の色合いは黒、 グレーを基調としたものとなっている。

紅、紫、紺色等の単彩な鮮明色はそれぞれ専門の職種があり、

鮮美色は京羽二重に登場してくる紅染司である小紅屋和泉禄や松屋伝右衛等、紫染司の江戸屋源兵衛等が染
していたのであろう。

当時の染色業者は呉服商の下職、つまり委託加工として染色業を営んでいたが、呉服商も染色工場を独占したり、

我が意の通り動かそうと図っていたと思われるが、

一方染工場側も預り商品の入質等を行なう不埼な工場もあったようで、

お上に取締りを願い出たり、また呉服業者が出入りの染色業者より

保証人連署の誓約書を取るなどして不正を防止していたようで

江戸後期においては取引上色々と問題が起きていたことが伺われる。

そうした中で現在の組合組織である茶染仲間が寛政十二年(一八〇〇)には既に結成されており、

次のような茶染業者が加入していたと見て差し支えない。

 

・十文字屋喜兵衛

・六文字屋庄兵衛

・柏屋甚 助

・井筒屋平兵衛

・柏 屋平兵衛

・鍵屋嘉兵衛

・丸屋勘兵衛

・井筒屋善兵衛

・小屋源助

 

次回(3月4日更新)へ続く→京の紺屋仲間の結成

 

【参考文献】

京黒染 著者 生谷吉男 京都黒染協同組合青年部会

    発行者 京都市中京区油小路通三条下ル三条油小路町一六八番地 理事長 古屋 和男

    発行日 昭和六十三年三月三十一日

1. 黒染の始まり~黒染めの歴史~

 

1. 黒染業の創始

 

黒染がなりわいとして文献に現われてくるのは四条西洞院に居をかまえていた吉岡憲である。

兵法家として名高く小説宮本武蔵にも登場しているが、永く四条西洞院で憲法染として営業をしていたようだ。

そして吉岡家の開発した黒染は当時黒茶染とも呼ばれ、

 

「憲法染」
「けんぼう染」
「吉岡染」


の名称が固有名詞として付けられ、広く染色家にて染められていた。

現在の黒染業者のルーツを系譜によって訪ねてゆくと、明治及びその以前においては染色業の中で次のような職種に分かれていた。

 

イ、茶染 黒及び茶系色、グレー等の鮮美色以外の染色
ロ、紺屋 型付防染したものの地染、黒染の下染票
ハ、監染 紺色の無地染


こうした江戸時代の三職種の中で黒染を行なっていた茶染業 について黒染業界内の文献、言い伝え等によって現存工場のルーツを探ると次の三社に行きつく。

 

柏屋平兵衛  創業 宝暦十三年(一七六三) 
柏屋甚助   創業 明和 元年(一七六四) 
小桝屋源助  創業 文 政四年(一八二1)  

 

これらの工場が黒染業界の祖と考えられる。

このような現在盛業中の工場の外に廃業されているとはいえ業界の重鎮として江戸時代から明治、大正、昭和と永く業界に貢献した工場として次のような工場があった。

 

井筒屋  松村平兵衛 創業 慶長年間(一五九六~一六一四)
丸屋   木村勘兵衛 創業 享保十年(一七ニ六)

 

柏屋平兵衛の初代長治兵衛は主家柏屋善之助方で二十五年の間徒弟、

番頭を経て宝暦十三年、三五歳で宿這りし「柏屋平兵衛」を創始した。したがって現存する黒染工場中最も創業が古く、

次いで明和元年(一七六四)に初代柏屋甚助、西洞院四条上ルで別家独立している。

初代甚助は茶染業であった柏屋治右衛門(中村屋)に奉公、茶染業を修業し、

主家が代々後家となったため踏み止どまって面倒を見ていたが、主家からの勧めもあり、明和元年(一七六四)に柏屋を継ぎ別家独立した。

別家独立後、町内(鰭鄭山町、古西町)の当時の青年会の世話をし、町内の人々によく慕われていた。

 

その後天明の大火(一七八八)に遭い、家を焼失したが、西洞院蛸薬師下ル古西町の町家 (町内の持家)を町内の方々の好意により購入して移転した。

蛤御門の変(元治元年(一八六四))の大火では柏屋甚助工場も大火に遭い、家・工場共に焼き出されたが、書類やその他重要品は井戸 に投げ入れたり、

蔵にしまったりして難をまぬがれたと伝えられている。

 

柏屋平兵衛、記録によれば文化年間に既に大きく活躍をしていたと思われるが、

現存する記録も少なく、言い伝えも途絶えているので江戸時代の活動は不明である。

しかし柏屋を称する茶染屋となると主家の柏屋治右衛門に継がれるのではないだろうか。

また江戸時代よりの住所である西洞院夷川上ルの奥田家本家は広い敷地を占めていることや、

後述の文化年間の広告文等から推定して当時から手広く工場を経営していたと推定される。(昭和63年時点)

 

次回(2月25日更新)へ続く→江戸時代の茶染業

 

【参考文献】

京黒染 著者 生谷吉男 京都黒染協同組合青年部会

    発行者 京都市中京区油小路通三条下ル三条油小路町一六八番地 理事長 古屋 和男

    発行日 昭和六十三年三月三十一日

YouTube出演!!

 

馬場染工業がYouTubeデビューです✨

今回出演させていただいたチャンネルは「Let’s ask Shogo」様です!

なんと、チャンネル登録者数80万人の超人気ユーチューバー様です。

京都の魅力を英語で世界中に発信しておられます。

大人気YouTuberが取材に来るという事で5代目&馬場染工業のスタッフは

当日までソワソワしてしまいました。 😳 

 

撮影日当日は流暢な英語を話されていて、スタッフ全員目が点になり、、😳

英語を交えながら体験工房の様子を分かりやすく紹介されていて

YouTuberって凄いな~と傍で見ていたスタッフ(私達)は感激🙄

 

撮影が無事終了し、帰られた後は英語トークで盛り上がった馬場染工業なのでした。。

 

今回出演させていただいた動画はこちら!!

とても素敵に撮っていただいています!ありがとうございます✨

是非ご覧ください😍Please have a look👐

 

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(撮影依頼全力でお待ちしております!!!ワクワク👀)

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スタッフ y

 

【黒染・服】お客様の声

本日届きましたお客様の声を掲載させていただきます。

馬場染工業 馬場様
この度は大変お世話になっております。
本日、無事ブラウスが届きました。
きれいに黒染して頂きまして、ありがとうございました。
また機会がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

大阪府 O . A 様

【黒染・服】お客様の声

これまでに届きましたお客様の声を掲載させていただきます。

 

前略

レインコートと□□さんのショルダーバッグを

きれいに染めて下さってありがとうございました、大変気に入りました。

今まで使えずにいたコートやカバンを楽しみに今後、何十年も使い続けたいと思います。

そして文章にありましたように、お友達にも自慢したいと思います。

これを機会に又、お願いする事もあると思いますので

今後ともよろしくお願い申し上げます。

今回は本当にありがとうございました。

 

神奈川県 H . Y様

【黒染・服】お客様の声

本日届きましたお客様の声を掲載させていただきます。

職人の皆様
お世話になります。
バーバリーのコートを先程無事に受け取りました。
綺麗な仕上がりで大変満足しております。ありがとうございました。
また機会が有ればご利用させて頂きたいと思います。
以上

東京都

N.T 様

 

【お知らせ】染替依頼の待ち時間について

染め替え依頼の待ち時間につきまして、
長らく混雑状況が続いておりましたが通常時(約1か月待ち)に戻りました!

お店へ直接お持ち込みいただいた場合の待ち時間は1週間~
となっております。

★郵送の場合
〒604-8242
京都府京都市中京区西洞院通三条下ル柳水町75
馬場染工業㈱ 宛

★お問い合わせ先
メール:kuro-zome@blak-silk.com
電話:075-221-4759

日焼け、色褪せ、漂白飛び、シミ、色、
自分で染めてみたが上手くいかなかった、などでお困りの物がございましたら是非一度ご相談ください。

※事前のお問い合わせのお電話は特に必要ありませんが、不安な方はお電話ください
※お近くの場合はお持ち込み下さい(平日 9:00~17:00)
※遠方の方はご郵送ください
 お客様のご了承を得てからの染となりますので当社で勝手に染めることはございません
※送り方はご都合の良い方法でお送りください
※染担当者は馬場1名のため、到着後すぐにご連絡できない場合がございます。
 遅いと思われましたら大変恐れ入りますがご連絡ください。
※メールや電話では直ぐにお答えできかねますので素材をご確認の上、ご郵送またはご来店下さい。
※お染出来ますのは化学繊維(ポリエステルなど)が40%未満のものに限ります。それ以上はお電話、メールにてご相談ください。

お客様と一点一点のお洋服への想いを大切に、心を込めて染めさせていただきます。

アルバイト決定しました。

たくさんのご応募ありがとうございました。

決定いたしましたのでご報告させていただきます。

ご希望の方は次回応募の時までお待ちください。

アルバイト募集

時間:9時~14時or10時~15時まで(応談)(休憩45分) 時間給:910円 交通費:最高1000円まで支給、自転車通勤可能、バイク通勤可能 職種:縫製(ミシンが使える方)きれいに縫える方、ボタンが付けられる方優遇、 写真撮影、商品発送、受付助手、絵を書くのが好きな人等 細かい作業が好きな方、人と話をするのが好きな方 一緒にお仕事しませんか? まずはお電話ください。お待ちしております。 馬場麻紀 075-221-4759

アルバイト決定しました。

たくさんのご連絡ありがとうございました。 決定しました。